この土地は荒廃していてよく視界が見えない。

建物などボロボロで、かつての戦時中の一国の風景のようだ。

零時はボロボロになった布切れを汗拭き代わりにしながら自分の額から出た汗を拭う。

物陰に隠れている零時に対して、下っ端達が自分の周りを覆い尽くすように囲んでいる。

「とうとう見つけましたよ、零時くん」

下っ端の一人が零時に向かって言葉を吐いた。

建物で覆われているこの荒廃した土地からは零時が丸見えだ。

絶体絶命の境地に達した零時、ふと笑みを浮かべると、とっさに腰から下げている巾着から白い小さな玉を取り出した。

「やっと捕まってくれるかね」

そう言った下っ端が銃を零時に向けた途端......。

「!」

零時の周りにいた下っ端全員がいきなりの展開に驚いた。