続・闇色のシンデレラ

壁一面を覆う窓ガラスの前に立つ壱華を後ろから抱きしめ、腹に手を伸ばしてさする。


外から見えないように加工した窓ガラスに映る壱華の顔は穏やかだ。


これを揺さぶるとなるとためらうが、俺にまで仮面を被るなんてことはやめさせるべきだ。



「また辛い思いさせたな。
当てつけで襲われた挙句、お前のせいだなんて罪を擦り付けられて。
それでもあのガキのために自分を押し殺して救ってやったお前は、本当にすげえよ」

「……甘やかさないで」



……甘やかす?そうしたつもりはないが、甘やかすと何か都合が悪いのか?


しかしお前の体は口に反して素直だな。


ほら、俺の手に添えたお前の細い指先が震えてるじゃねえか。



「甘やかすさ。大切な唯一無二だからな」

「優しくしないで……」

「優しさも一種の愛情表現だ。いいから、肩の力抜けって」

「だめなの……そんなこと、言ったら……」



段々ボロの出ていた壱華にもうひと押し。



「俺にくらい素直でいろよ。
完璧であろうとしなくていい。誰かと比べようとするな。
俺だけのお前でいてくれ。何も繕わなくていい自然体の、俺だけの壱華で」

「……志勇、っ……」



俺の名を呼んだのを最後に言葉を詰まらせる壱華。


肩を揺らし嗚咽を抑えようとする。


落ち着かせるために頭を撫でてやろうとしたら、手の甲に熱い涙が落ちた。