続・闇色のシンデレラ

まるで芸人さながらのリアクリョンを起こした志勇。


あの冷静沈着な帝王が、一体全体どうしたの!?


すると彼は壁にかかるカレンダーをじっと見て、それからわたしに視線を滑らした。






「お前……エイプリルフールは1週間も前だろうが!」


「ええっ!?嘘じゃない、本当だから!」




大真面目な顔して見当はずれなツッコミを入れてきた志勇。


どうやら彼は相当気が動転してしまっているみたい。


全力で言い聞かせると、2人きりの本家の離れは一気に静かになった。




「……本当なのか?」

「うん、最近やたら眠いし調子悪いから、調べたら妊娠初期の症状に一致して。
生理も遅れてたし、もしかしたらと思って今まで市販の検査薬で何回か検査したけど陰性で。
でも、今日検査してみたら初めて陽性反応が出たの」

「そうか。まあ、思い当たる節は数え切れねえほどあるが……」



詳しく説明したら、新聞を床にばらまいたまま、腕を組んで理解に努めようとしている。



「びょ、病院いつ行くんだ?」



ところが落ち着き払っているはずの志勇はやっぱり冷静になり切れなかったらしく。


がっつり言葉を噛んだ。


そんな彼に可愛いなんて思ったのはここだけの話。




「ふふ、今日行けたら行こうと思ってる。検査の結果が出たら知らせるね」

「待て。なんで俺がいない前提なんだよ」

「え、だって今日は夜まで帰って来ないって……」

「俺も行く」

「でも仕事が……」

「いや、俺も行く」