病院を出て、事務所に帰るため発進した車にて。
わたしは火照る顔に手を当てなんとか冷やそうとしていた。
「お前、いつまで引きずってんの?」
「近い!くっつかないで」
ずいっと距離を縮められて驚いて、咄嗟に志勇の口を押さえる。
何すんだと凄む彼だったけど、ふとした瞬間閃いたらしい彼は───
「やあっ!?」
抑えているわたしの手のひらをペロ、と舐めた。
「壱華さん!?」
「……あぶねえ」
びっくりして手を外しのけ反るわたし。
わたしの突然の行動にブレーキを踏む剛さん。
そのせいで倒れかかったその体を抱きとめる志勇。
「ご、ごめんなさい。何でもないです」
「へい、こちらこそ急ブレーキかけて申し訳ないっす」
ちなみに今日は颯馬がいない。
志勇をちゃんと叱ってくれる人がいないから困る。
「母親になっても相変わらずウブだな」
「……」
なぜか愉しそうな志勇を睨みつける。
わたしがこんな志勇を警戒してる原因は、診察室を出る直前での先生の言動から。
……あれはきっとわたしの首元のキスマークに気づいて言ったんだと思う。
『あ、そうだ。
安定期に入ったら、母体に影響がない範囲ならえっちしても大丈夫だからね!』
わたしはそれを聞いた途端吹き出した。
いや、あんな満面の笑みで言われて吹き出さないわけがない。
それで志勇はご機嫌というか、わたしをその気にさせるスイッチに切り替わってしまったみたいだ。
わたしは火照る顔に手を当てなんとか冷やそうとしていた。
「お前、いつまで引きずってんの?」
「近い!くっつかないで」
ずいっと距離を縮められて驚いて、咄嗟に志勇の口を押さえる。
何すんだと凄む彼だったけど、ふとした瞬間閃いたらしい彼は───
「やあっ!?」
抑えているわたしの手のひらをペロ、と舐めた。
「壱華さん!?」
「……あぶねえ」
びっくりして手を外しのけ反るわたし。
わたしの突然の行動にブレーキを踏む剛さん。
そのせいで倒れかかったその体を抱きとめる志勇。
「ご、ごめんなさい。何でもないです」
「へい、こちらこそ急ブレーキかけて申し訳ないっす」
ちなみに今日は颯馬がいない。
志勇をちゃんと叱ってくれる人がいないから困る。
「母親になっても相変わらずウブだな」
「……」
なぜか愉しそうな志勇を睨みつける。
わたしがこんな志勇を警戒してる原因は、診察室を出る直前での先生の言動から。
……あれはきっとわたしの首元のキスマークに気づいて言ったんだと思う。
『あ、そうだ。
安定期に入ったら、母体に影響がない範囲ならえっちしても大丈夫だからね!』
わたしはそれを聞いた途端吹き出した。
いや、あんな満面の笑みで言われて吹き出さないわけがない。
それで志勇はご機嫌というか、わたしをその気にさせるスイッチに切り替わってしまったみたいだ。



