続・闇色のシンデレラ

剛さんの訴えでようやく車に乗りこんだ。


今日は赤ちゃんの定期検診の日だった。





「あらこんにちは、今日は坊っちゃんとご一緒なのね」




結局時間通り到着すると、診察室には担当の潮崎先生が待っていらした。



「はい、今日から一緒にエコー見れるって聞いて」



妊娠中期に入ることもあって超音波検査をお腹の上から受けられることになり、今日は志勇を連れてきた。


いつも通りいくつか問診を受けた後、ベッドに横になってエコー検査を受けることに。


あたたかいジェルを塗ってお腹の上から機械を当て様子を探る。




「少し小さめだけど、元気ねえ。お母さんが若いから心配だったけど、思いの外順調だわ」



画面に写し出された赤ちゃんは元気にぴょこぴょこ動いて、もう頭も体もよく分かるくらい成長している。


こっちにアピールするみたいに手を上げてる姿が可愛いし、ぽっこりしてるお腹が愛らしい。



「志勇、ご感想は?」

「……ちゃんと生きてんだな」

「はい?」



先生と反対側のベッドサイドに座る志勇は呆然とした口調で呟く。



「あんなに小さかったのに、もうこんな人の形になって……」

「……」



志勇は初めて目の前で動く我が子を真摯(しんし)な眼差しで見守っていた。


そんな彼を見て、くすりと笑った先生の手元が揺れる。



「こうやって父親の自覚が芽生えるのよね」



彼女は志勇に慈しみの目を向けている。



「いいパパになりそうね」



それが嬉しくて照れくさくて。


パパだって、なんてからかいながら志勇と2人でこっそり笑いあった。








良いこと続きの後には障害がある、その恐怖を忘れて。