続・闇色のシンデレラ

しかしながら、俺は直後に理叶を見くびっていたらしいと感じた。



「そうですか。元気そうでよかった」



理叶は俺の言葉を率直に受け取り、前を向いて平穏な口調で───笑いやがった。



「嬉しそうだな、理叶」

「はい、楽しみな限りです。予定日はいつになるんですか?」

「おいおい、気が早ぇよ。写真見せてもらったけど、まだ豆粒みたいなんだぜ?」

「それでも可愛いですよ、壱華の子なら」

「……へえ、そうか」



……大人になったな、理叶。


ちびっ子の時から見ていた理叶に感心するときが来るとは。


痛いところ突いていじめてやろうと思ったが、もうそんなガキじゃねえか。



「……理叶、行こう。オヤジが呼んでる」



その代わりと言っちゃなんだが、光冴はかなりの衝撃を食らったようだ。


理叶、と呼びかける声が震えている。



「ああ、分かった」




進む理叶と止まった光冴の距離はいつになれば縮まるのか。


いや、いっそ光冴は闇を抱えたままでもいいかもしれない。


そこまで罪の意識が深いならいい下僕になりそうだ。


あいつはこれからが見物だな。