「やっぱり今から片付けてやるから、今日の水尾組との会合お前が行け」

「はあぁ?ぜってえ嫌だ」



あからさまに表情変えて何を企んでいるかと思えば、あのお嬢がいる水尾組に行けだと?


冗談じゃねえ。誰があの、ボディタッチ激しくてわがままで、甘ったるい臭いぷんぷんの性悪女がいる組へ赴くって?


男だらけの本家で酒を浴びるように飲まされるより、あの女の相手する方が辛いってのに。



「いいのか?俺が明日の仕事も終わらせるってことは、お前の休みも増えるってわけだ。
お前が小一時間我慢すりゃ明日は一日中自由だぜ?」

「いや、無理だ。耐えられる自信がねえよ」



断固拒否の姿勢を見せる俺に、兄貴は裏のある笑みを浮かべて一言。



「へえ……ちょうど明日は火曜日だってのにもったいねえ」

「うるせえな、余計なお世話だよ」



揶揄(やゆ)されてさすがに腹が立った。


火曜日だからなんだ。『あいつ』が休みだからって俺には関係ない。


新しい資料をバン、と机に叩きつけ部屋を出た。