「せつな、ちゃんとママにごめんなさいして!ほら!」



絆が抱っこで連れてきてくれたけど当の本人は悪びれる様子はない。

……こういうのは、親の力量不足なんだろうか。

満たされていないから刹那はこうしてイタズラをして鬱憤を晴らしているのかな。

私の周りの人は「パパに似てやんちゃだな〜」って気楽になんて笑われるけどそれどころじゃない。

自分の子が人に危害を加えるような大人になってほしくない。

だから自分なりに一生懸命言い聞かせているつもりなんだけど、どうも響いていないように感じる。



「……ママ、ごめんねぇ?」



本気でどうしたらいいんだろうと思っていたら、わたしの異変に気がついたのか刹那は小さい声で謝ってきた。

……かわいい。なんて許しそうになってしまうわたしは単純すぎる。

なにせ刹那は志勇にそっくりだから、それだけでもうかわいい。



「反省してる?」

「……うん」

「じゃあママといっしょに謝りに行こうか」



自分が悪いとわかって塩らしくなった刹那の手を引いて組員のもとへ歩く。

頭を下げて謝ったら、破いた障子の部屋に住み込みで働きに来ていたその人は笑って許してくれて、何とかその日は事なきを得た。