彼女はあっという間に志勇さんの恋人になって、あっという間に志勇さんと結婚してしまった。

結婚式の時、志勇さんは見たことのない顔で壱華さんに笑いかけていて本当に愛し合っているんだって思い知った。

一方で3回抱かれただけで勘違いしていたと気がついて恥ずかしくてたまらなかった。

なんてみじめなんだろう、もういっそ死んでしまいたい。



「苦しくも、辛くもないよ。ずっと甘えてただけだから。
理想を演じていればみんな優しくしてくれるから、そうしたらいずれ志勇さんにも振り向いてもらえると思った」



それでも死ぬ勇気がなくてこうして生きている。

なんて愚かで滑稽なんだろう。

私の生き方は大間違いだった。そんな甘えた人間が志勇さんの隣に立てるはずがないのに。

たくさんの困難を乗り越えてきた壱華さんこそ、選ばれて当たり前。

私なんて足元にも及ばない。



「私は、優しくなんてない。きっと凛太郎のお兄さんと同じ状況だったら、命欲しさに真っ先に逃げるよ。
私はそんなできた人間じゃない」



ああ、恥ずかしい、消えてなくなりたい。