次の日、紫音さんに頼まれてもう一度事務所に向かった。
「おい、聞いたぞ。お前“あの”神木らしいじゃねえか」
すると昨日のおっさんにいきなりガンを飛ばされた。
はあ、めんどくせえ。
「だからなんです?その神木と俺は関係ありません。俺は荒瀬の人間ですから」
「嘘つけ。そうやって荒瀬に忠誠誓ったフリして、復讐の機会を狙ってんだろ。
こんな危険因子をそばに置くなんて、本家のヤツらは見る目がねえなぁ」
「おい、おっさん」
完全になめられてると思い、おっさんの胸ぐらを掴んで壁に押し付け、目線を合わせるために持ち上げた。
「くっだらねえことガタガタ抜かしてんじゃねえよ」
「くっ……悪かった!離してくれ!」
低い声で忠告すると呆気なく自分の非を認めたので、用事を終わらせたらすぐ網谷に帰った。
しかし乗り越えたはずの過去を蒸し返されて気分が悪いのは変わらない。
……琴音さんも俺にとやかく言われてこんな気持ちだったんだろうな。
そう思うと自業自得だと思う反面、想いって簡単に断ち切れないよなと改めて感じた。



