続・闇色のシンデレラ

「凛太郎」

「あ、はい?」



と思っていたら突然名前を呼ばれた。

上擦った声で返事すると、真っ直ぐ俺を見る彼女と目が合った。



「……なんでもない」



しかし、そう言って彼女は再び視線をケーキに移す。

「なんでもない」そう言った姿が最後に見た兄と重なった。

その時ふと思った。

この人は亡くなった俺の兄に似ていると。

自分を押し殺して他人の理想に生きようとする様がそっくりだと。



「琴音さん、俺で良かったら頼ってください」



そう思うと、口から勝手に飛び出た言葉。



「え?」

「誰かひとりくらいそういう人いないと、やってけないでしょう?
安心してください、琴音さんの悩み事は誰にも漏らしません。
もし裏切った時は───紫音さんに『凛太郎を東京湾に沈めてくれ』って言ってください」



って、俺何言ってんだ。

昨日泣かされた相手を信用しろとか無理がある。