続・闇色のシンデレラ

「俺たちさ、養子なんだよ」

「え?」

「俺が10歳の時、親父に出会って養子にしてもらった。それまでずっと施設育ち」



紫音さんはまるで世間話でもするみたいに生い立ちを語ってきた。

背もたれにもたれかかり、タバコをくわえて深く吸い込むとジジッ、と先の方が灰になった。



「俺は元来こういう性格だからどこでもやってけたんだが、琴音はそうじゃねえんだ。
まともに親から愛情を受けてないせいだろうな。
いつもオドオドして自分に自信がなくて、よくいじめの標的にされてたよ」



一気に紫煙を吐き出して、一緒に過去の話も洗いざらい吐き出した紫音さん。

吐き出した煙はふわふわと天井を漂った。



「そんな琴音が初めて他人に興味を示して、積極的に関わりを持とうとしていたのが志勇だった」



当時を懐かしむように笑う紫音さん。

だけどその目の奥は笑ってなくて冷えきっていた。



「俺は嬉しかったよ。志勇の話をする時の琴音はほんと幸せそうな顔で。
志勇も琴音のことは可もなく不可もなくって感じだったらもしかしたら、なんて期待したんだよな」



笑顔だった彼は一変、無表情になってタバコを灰皿に強く押し付ける。



「まあ、ものの見事に裏切られたわけだけど」



俺はこの時初めて気がついた。

この人は壱華さんを強く恨んでいるんだと。