「え〜?マジでケツ痛えんだけど。憂雅あの野郎……」
帰り道、車を運転しながらカンチョーされた痛みと戦っていた。
痔になったらどうしてくれんだよあのガキ。
なんて思いながらミラーを見たら俺の顔をニヤついていて。
……ま、楽しかったからいいか。
なんて楽観的に考えていたら、とある看板が目に入った。
「あ……寄って行こうかな」
気になったそれは洋菓子店の看板。
さっき剛のアニキが「口利いてもらえるようになったら甘いもんとか差し入れ持ってく」って言ってたしちょっと気になった。
かくして俺は洋菓子店に寄り道してから網谷組に戻った。
「ただいま戻りました」
「よう、おかえり凛太郎。どうだった?」
「特にお変わりありませんでしたよ。ああ……子煩悩は増してましたね」
「ははっ、天下の狼も子どもの前では別人ってか、おもしれぇ」
網谷に帰って、まず主である紫音さんに報告をした。
彼は自室で紫煙をくゆらせながらパソコンと向かい合って仕事をしていた。
ふと、ちらっとこっちを見た紫音さん。
その目がギラりと光ったのを俺は見逃さなかった。
「で、それは昨日泣かせた琴音への詫びか」
「っ……その通りです」
「ああ、良かった。大事な妹を泣かせておいて、詫びの品も持ってこないで帰ろうなんてものならハッテン場にでも放り込んでやろうかと思った」
笑顔で怖いことを言う紫音さんは自他ともに認めるシスコンだ。
網谷では、万が一琴音さんに手を出そうものならそれは死を意味すると言われている。
実際、数年前に彼女を盗撮してマジで東京湾に沈められた男がいるらしい。
改めて自分がしでかした事の重大さを悟った。



