続・闇色のシンデレラ

「壱華お前、指輪どこやった!」

「え?」



……あ、そうだ。今日、指輪を左手の薬指から外したんだった。


気づかないだろうと思っていたのに、ちゃんと左手の薬指に指輪をつけてる志勇は、目ざとく気がついたようで。




「身につけとけって言ったろうが」

「つけてるよ!ちゃんと見て」



けど身につけてないわけじゃない。



「は?どこに……ん?」

「……あっ」



わたしの弱点である、首にかけてあったりする。




「あった」

「うん……外れたら怖いからネックレスに通したの」

「へえ……」



指先に持って指輪を観察し終えた志勇。



「……んっ」



指輪を戻す際、わざと首筋を触ってからそれを離した。


声を出してしまったことに恥ずかしくなってうつむく。



「逆にそっちの方がいいかもな。
人妻ですって主張してるみたいで」



でも急に志勇がご機嫌な声になったから顔を上げる。


そこにあるのは、さっきの剣幕はどこにいったのかいつものゆるゆるの表情。




「ねえ、ひとづまってなにー?」

「……」



ところが足に抱きついていた4歳児に質問をされると、さすがの志勇もばつの悪い顔をしていた。