続・闇色のシンデレラ

「凛太郎、こっち来い」

「あ、はい」



とりあえず呼ばれたので刹那を降ろしてそっちに向かう。

若は俺の顔を見ることなく、子どもたちを見ながら藪から棒に尋ねてきた。



「そっちの状況はどうだ?」

「え……ここではちょっと」

「別にいい、話せ。俺は子どもたちと遊んでやってるから目が離せねえんだ」



いや遊んでるのはあんただろう───そんなツッコミは胸の内に飲み込んだ。



「はあ……分かりました。“状況は特に変わりない”です」



俺の返答に若はニヤリと笑った。



「へえ……お前もだいぶ“らしく”なってきたな」

「さすがに1年いれば慣れます」



特に変わりない、その意味は通常通りシノギか行われ、ある程度のいざこざが発生しているということだ。

ヤクザの辞書に平和なんて文字はどこにもない。

そこらかしこに問題は転がっていて、処理するのに大変な毎日だ。

カタギの人間ではニュース沙汰になるほどの非日常的。

だけどヤクザの世界では「特に変わりない」日常だ。

俺はずいぶん慣れてきた自分に気がついて、少しゾッとした。