「質問を変えよう、凛太郎。
お前の人生、ただの子守りとして終えるつもりか?」



だけどそう質問されてハッとした。

俺はもう、荒瀬に守られる子どもじゃないんだ。

今後の人生を選択する年齢に差し掛かっているんだと。



「おい、凛太郎はこれから本家でシノギを覚えていく予定だからお前が口を挟むな」

「志勇、お前じゃダメだ。こいつに愛着があるんだろ?
凛太郎が可愛くって今更ヤクザの世界になんてぶち込めねえさ」

「……愛着?」



若はそう呟くと口を閉じた。図星だったようだ。



「子どもができてから変わったよ。身内には甘くなった」

「……」

「俺はこいつと初めて会った時、光るものを感じた。
凛太郎は出世するだろう、こんな所で雑用として終わらせるには実に惜しい人材だ」



若は「んなことは分かってる」と網谷さんを睨んで舌打ちをした。

悔しそうに顔をしかめるその顔は、どこか悲しそうに見えた。