「てめえ、紫音!本家に用事って凛太郎のことだったのか!?」

「うぉぉ!わ、若!」



怒り心頭の若の登場に俺は焦って足元にあったバケツを蹴飛ばした。



「何言ってんだ志勇。
約束の時間だ、凛太郎は貰い受けるぞ」

「ふざけんなこいつはウチのだ」



睨み合う双方の背後には虎と龍が見えるような気さえする。

えっと、なんだこの状況。



「あの、一体どういうことですか?」



訳が分からずそっと尋ねると、若にギラギラした目で睨まれた。



「……とりあえずお前は風呂入ってこい。その間に話をつけておく」

「は、はい」



一体全体なんなんだ?俺、なんかやらかしたっけ?

いろいろ考えながらシャワーだけ浴びて脱衣所から廊下に出ると、そこに颯馬さんが立っていた。



「あ、凛太郎。髪乾かしたら応接間に行ってくんね?なんか話が長引いてるらしくて」

「はあ……分かりました」



俺は言われた通り髪を乾かしたあとひとりで応接間に向かった。