「付き人というのは本当に骨の折れる仕事ですけれどね」
「そうですね。特に志勇は大変だったでしょう?」
「はい、若はこのイタズラっ子の憂雅と比べ物にならないほど暴れん坊でして」
「頑固でひねくれもの、でしたっけ?」
司水さんは優しい光を瞳に携えて話を続ける。
しかし、志勇の話になると会話が弾むなんてわたしも現金だな。
「あ、若だ~」
話に夢中になったせいで、間にいる憂雅くんが気配を感じて後ろを振り向いてそう言ったのを全く気がつかなかった。
「そうです。壱華様が懐柔なさってるので、今はだいぶ落ち着きましたが……」
「……誰が、頑固でひねくれものって?」
低く抑揚のない男の声音。
「……志勇!?」
春なのに冷や汗が吹き出て、2人そろってバッと見返る。
そこにいたのは───
「司水、てめえ俺の嫁に粉かけてんじゃねえよ。とうとう血迷ったか」
黒いオーラ全開、眼光鋭くこちらを見下ろす、大きな狼。
「志勇、そんなことは決してありませんよ。彼女はあなたの唯一の方ですから」
「……ケッ」
彼は司水さんの受け答えに耳を貸すことはなく、ずんずんとわたしの前まで歩むと腰を落とす。
そして、眉間にシワを刻みヤンキー座りをしてガン垂れてきた。
「そうですね。特に志勇は大変だったでしょう?」
「はい、若はこのイタズラっ子の憂雅と比べ物にならないほど暴れん坊でして」
「頑固でひねくれもの、でしたっけ?」
司水さんは優しい光を瞳に携えて話を続ける。
しかし、志勇の話になると会話が弾むなんてわたしも現金だな。
「あ、若だ~」
話に夢中になったせいで、間にいる憂雅くんが気配を感じて後ろを振り向いてそう言ったのを全く気がつかなかった。
「そうです。壱華様が懐柔なさってるので、今はだいぶ落ち着きましたが……」
「……誰が、頑固でひねくれものって?」
低く抑揚のない男の声音。
「……志勇!?」
春なのに冷や汗が吹き出て、2人そろってバッと見返る。
そこにいたのは───
「司水、てめえ俺の嫁に粉かけてんじゃねえよ。とうとう血迷ったか」
黒いオーラ全開、眼光鋭くこちらを見下ろす、大きな狼。
「志勇、そんなことは決してありませんよ。彼女はあなたの唯一の方ですから」
「……ケッ」
彼は司水さんの受け答えに耳を貸すことはなく、ずんずんとわたしの前まで歩むと腰を落とす。
そして、眉間にシワを刻みヤンキー座りをしてガン垂れてきた。



