続・闇色のシンデレラ

「じゃあ、おれはまん中~!」

「わっ」

「こら、憂雅」



司水さんが座ると、すかさず憂雅くんはわたしと司水さんの間に入る。


叱られても、足をばたつかせて太陽みたいな笑みを弾けさせていた。


この子の笑顔はやっぱりあたたかい。


心にぬくもりを感じ、3人で並んで座って他愛のない話をして、しばらく春風に身をさらしていた。



「……懐かしい」

「はい?」



すると、司水さんがわたしの横顔を見て呟く。




「若がお生まれになる前もこうして姐さんと語らっていたものです」

「お母さんと?」

「はい、日に日に大きくなっていくお腹を見つめては、私が彼女の子を守るんだと、心に誓っておりました」

「そっか~。生まれる前からそんな風に想われてるなんて、志勇は幸せ者だなぁ」



そういえば志勇が言ってた。物心ついたときから司水さんは自分の傍にいてくれたと。


じゃあこの子にも、付き人と呼ばれる兄弟みたいな人が現れるのかな、とお腹を撫でていると───



「おれも壱華のあかちゃん守るよ!だって壱華大すきもん!」



その人は案外すぐそばで見つかった。



「守るなんて簡単にいうセリフではありませんよ?」

「いーや、きめた!司水が守るようにおれも守る!つよくなって守る!」

「憂雅くん……」

「おれが壱華のあかちゃん守る!」



キラキラの笑顔で、澄んだ瞳で憂雅くんは大々的に宣言。



「私のように、ですか」



そんな息子を見て父の瞳は揺れる。


自分のようにと言ってくれた感動と、付き人として人生を進ませていいのかという後ろめたさと、ほんの少しの誇りを感じて揺れていた。