続・闇色のシンデレラ

現れたのは荒瀬組組長の側近頭、司水さん。



「む、司水」



憂雅くんは彼の姿が見えると立ち上がってその足元に寄ってぴっとりくっつく。


その姿は微笑ましい親子そのもの。


だけど憂雅くんは彼をお父さんとは呼ばない。



「あまり迷惑をかけてはいけませんよ?」

「おれ、こまらせてないよー。いい子にしてるよ」



彼らは特別な事情を抱えた親子だから。




「体調はいかがですか?」



はしゃぐ憂雅くんを見つめて、それから縁側に座るわたしの頭の上にある司水さんと目を合わせた。



「はい、だいぶよくなりました。ありがとうございます」

「それはよかったです。ですが困ったことがあれば我々にご相談くださいね?でないと志勇に叱られます」

「分かりました。困ったことがあったら皆さんを頼ります」



こうやって心配してくれる人がすぐ近くにいてくれるのは嬉しい。


でも、わたしが密かに懐に潜める願いはそんな人達を裏切ってしまうことだから、司水さんへの返答は上っ面なものだった。




「ねえ、いい子にしてたからあそぼう」



下手な作り笑いで嘘をついたわたし。


そんなとき介入してきたのは無邪気な子ども。



「私と?その辺の若衆に遊んでもらった方が楽しいでしょう」

「いやだ!司水がいい。あそべないならちかくにいるだけでいいから!」



よほど構ってほしいのか、憂雅は司水さんの手を引っ張って足をジタバタ。





「……構ってあげてください」

「仕方ないですね……じゃあお隣、失礼いたします」



わたしからもお願いすると、司水さんは縁側に足を投げ出して隣に腰を下ろした。