SIDE 壱華
「あれ、志勇……」
火照った体に冷たい感覚を受け目覚めると、志勇がベッドの脇に座っていた。
彼の手が頬に触れていて気持ちいい。
このまま寝てしまおうかと考えたけど、視界の端から捉えた窓の外の色は、赤紫色。
しまった。もう夕方だ。
「あ、ごめんなさい。わたし、昼からずっと寝てて……」
「そのままでいい」
慌てて起床しようと力をこめる。しかしそれは志勇の声と眼差しによって止められた。
代わりにゆっくり負担のかからないように起こしてくれる。
「気分はどうだ?」
「今は落ち着いてるよ」
寝たせいか吐き気は一時的に治まってる。
これなら明日は病院に行けそうかな。
「けど熱いな」
「吐き気がないだけマシ」
あ、明日病院に行くこと、志勇に伝えておいた方がいいかな。
でも4月ってどこも企業、職種も忙しいから仕事に支障を来たすのはちょっと。
一概には言えないけどヤクザもこの時期忙しいらしい。
ついてくる来ないにしろ、仕事に集中できなくなるから言わない方がいいかな。
「どうした?」
「なんでもない。気持ちよくて……」
と考えて事後報告することに決定した。
頬を冷やしてくれる志勇の体温に肩の力を抜く。
「……そんな顔するな。襲いたくなるだろうが」
「だめよ、狼さんになったら」
「ああ、今すぐ喰らい尽くしてやりてぇよ」
そう言いながら彼は、唇を親指でなぞって、体の芯を熱くさせる。
こうやって志勇と触れ合う時間が、体調の変化との格闘の中で唯一の救いだった。
「あれ、志勇……」
火照った体に冷たい感覚を受け目覚めると、志勇がベッドの脇に座っていた。
彼の手が頬に触れていて気持ちいい。
このまま寝てしまおうかと考えたけど、視界の端から捉えた窓の外の色は、赤紫色。
しまった。もう夕方だ。
「あ、ごめんなさい。わたし、昼からずっと寝てて……」
「そのままでいい」
慌てて起床しようと力をこめる。しかしそれは志勇の声と眼差しによって止められた。
代わりにゆっくり負担のかからないように起こしてくれる。
「気分はどうだ?」
「今は落ち着いてるよ」
寝たせいか吐き気は一時的に治まってる。
これなら明日は病院に行けそうかな。
「けど熱いな」
「吐き気がないだけマシ」
あ、明日病院に行くこと、志勇に伝えておいた方がいいかな。
でも4月ってどこも企業、職種も忙しいから仕事に支障を来たすのはちょっと。
一概には言えないけどヤクザもこの時期忙しいらしい。
ついてくる来ないにしろ、仕事に集中できなくなるから言わない方がいいかな。
「どうした?」
「なんでもない。気持ちよくて……」
と考えて事後報告することに決定した。
頬を冷やしてくれる志勇の体温に肩の力を抜く。
「……そんな顔するな。襲いたくなるだろうが」
「だめよ、狼さんになったら」
「ああ、今すぐ喰らい尽くしてやりてぇよ」
そう言いながら彼は、唇を親指でなぞって、体の芯を熱くさせる。
こうやって志勇と触れ合う時間が、体調の変化との格闘の中で唯一の救いだった。



