続・闇色のシンデレラ

電気を付けて、綺麗な横顔の見える位置に腰を下ろす。




「……痩せたな」



俺は知っている。


壱華が食べた物をほとんど吐いてしまうこと、下がらない微熱に悩まされていること。


それでも俺の前では気丈に振舞って笑顔でいようとする。


なぜ俺にまで嘘をつく?


なぜそんなに我慢する?


まだ顔も知らないガキのためにどうしてそこまで自分を追い詰める。


そもそも腹の中に子どもがいなければこんな苦労はしないだろうに。


などと、自分が孕ませたくせに、壱華以外に排他的な俺は自分の子に嫉妬してしまっている。



「だめな父親だな……」



壱華の長いまつ毛を見つめ独り言。


しかしこのままでは母体ともに危ないだろう。


そこでひとつ、考えがあるのだが。


ただ、これは俺から切り出すと、壱華に断られてしまったら進展がなくなってしまう。



「頼らなきゃいけない状況を作るしかねえか?」



妊娠している手前、壱華にあまりストレスを感じさせたくないが、我慢を積み重ねて生きてきた壱華はそうでもしないと自分からは頼ってくれないだろう。


さてどうしたものか。青白く熱を放つ頬に手を重ねた。