「憂雅くん」

「あっ、壱華だ!おはよう!」

「おはよう」



早速憂雅くんの部屋に行くと、彼は机に向かって何かをしている最中だった。

だけど、私が声をかけるとそれを放って私のもとへ駆けてくる。



「“きずな”もおはよう」



そういって憂雅くんは私のお腹をなでなで。



「大きくなったねえ。いつ出てくるの?」

「まだまだだよ、11月くらいかな?」

「11月?いま9月だから~、きゅう、じゅう、じゅういち……さんかげつもあるね!
おれ早くきずなに会いたいな~!」

「そうだね、わたしも絆に会いたいなぁ」



そういうと、憂雅くんはハッとしたように元いた場所に戻った。

そして何枚か机の上にあった紙を持ってくると、それをわたしに見せてくれた。



「あのね!おれね!りっぱなお兄ちゃんになれるように、べんきょうしてるの!見て!」

「すごい!こんなにいっぱい書いたの?」



そこにはビッシリと漢字が書き込まれていた。

小学生が習うような簡単な漢字を練習していたようだ。



「うん!がんばってるでしょー?見て!手のここまっくろなの!
でも今日はね、かんじのれんしゅうと、足し算のべんきょうするの!」



そう言って真っ黒になった右手の側面を見せる憂雅くん。


この子、かなりの努力家なのかもしれない。



「えらいなぁ憂雅くんは」

「えへへ、大きくなったらきずなにおしえてあげるんだ!」



そう言って笑う小さな体は、以前にましてたくましく成長しているように感じた。