「なんだよ、話って」



離れに帰ってきて、志勇をダイニングテーブルの椅子に座らせた。

わたしはテーブルを挟んで向こう側に座る。



「あのね……今日、先生に聞いてみたんだけど」

「何を?」





「………男の子、だって」





「へぇ」

「……」

「……は!?」



そっと告白すると、へぇ、と受け流したと思えば、後から驚きがやってきたようだ。

今日の志勇はやけに表情豊かだ。



「お前、なんでそんなサラッと言うんだよ!」

「え?もったいぶったって仕方ないでしょ?」

「いや、ここはもったいぶれ。大事なことだろうが」



目を見開き私を見つめる彼の瞳は驚きで満ちている。

……あの東の狼が、子どものことでこんな狼狽えるなんて。

誰がそう思っただろうか。

ふと、口角が自然に上がった。



「何笑ってる」

「ふふっ、子どもができて志勇も変わったなって」

「変わったのはお前とお腹の子の前だけだ。他では変わりはしない」

「そう?それでも嬉しいよ。家庭ではいいパパでいてくれそうで」

「だから、パパっていうのやめろ。
最近颯馬にからかわれてウザったいことありゃしねえ」

「ふふふっ……」



笑うと、子どもにもそれが分かるのだろうか。

コポン、と軽くお腹を蹴られたのが分かった。