「壱華いるか?」



すると、そこに現れたのは志勇。



「あら志勇、早かったわねえ」

「おかえりなさい。どうかしたの?」



こんな時間に帰ってくるのは珍しい。



「今日は検診の日だろ?俺もついて行こうかと」

「ああ、それなら午前中に行ってきたよ」

「はあ?」



そういうと、志勇は眉間にしわを寄せてなんだか残念そうな顔をした。



「え?」

「え?じゃねえよ。今日は性別が分かるかも、とか言ってたじゃねえか」

「ああ、そうだったね」

「なんで俺をその場に呼ばねえんだよ」

「えーっと……」

「言えない理由でもあるのか?」

「そうじゃなくて、もう、来て!
お母さん、失礼します」



不機嫌に私に迫る志勇。

この場にお母さんを巻き込みたくなかったので、私は立ち上がって志勇の手を引いた。



「いいえ、また来てね」




お母さんはどこか嬉しそうだった。