「壱華さん……?」
中庭に面した廊下をゆっくりと歩いていると、後ろからわたしを呼ぶ声がした
「凛……」
振り返ると、そこには小麦色に焼けた肌の凛太朗の姿が。
「いつの間に退院したんですか!?もう大丈夫ですか?お腹の子は……!?」
凛太朗は私と目を合わせるや否や、質問攻めで走ってきた。
その顔はひきつって瞳は潤んでいる。
……そうか、この子も相当心配してくれたんだな。
「心配ないよ。見ての通り私もこの子も元気いっぱいだから」
「本当、ですか?」
「うん、心配してくれてありがとね。お見舞いも来てくれて嬉しかったよ」
「……ハアァーー、よかった……」
私が笑って見せると、凛太朗は深く息をついて突然しゃがみこんだ。
「俺、すごい心配で、でも何もすることできないし、下っ端の分際でお見舞いなんて行かせてもらって逆に申し訳なくて。
命の恩人なのに、何もできなくてすごく悔しかった」
「凛、私はその気持ちだけで……」
「ああっ、しゃがまないでください!俺が立ちますから!」
しゃがもうとすると、猛烈な勢いで立ち上がった凛太朗。
「妊婦はしゃがむ動作が大変だって、『たまひよ』に書いてありましたから!」なんて、一生懸命語るその姿になんだか和んだ。
「ふふっ……」
「え、なんで笑うんですか!?」
「凛がいると元気出るなーって」
「いや、でも、本当に心配したんすよ?思い切って剛のアニキにも話しかけたんすから!」
「そう、凛、剛さん苦手なのに頑張ったねえ」
「でも、最近アニキは熱い男だって分かりました。あの、ところで……」
パワフルにしゃべる凛。だけど急に声のトーンを落とすと。
「ん?」
「気になってたんすけど、剛さんって、いつの間に‟コレ”できたんすか?」
凛太朗は小指を立てて、わたしに驚きの質問をしてきた。
中庭に面した廊下をゆっくりと歩いていると、後ろからわたしを呼ぶ声がした
「凛……」
振り返ると、そこには小麦色に焼けた肌の凛太朗の姿が。
「いつの間に退院したんですか!?もう大丈夫ですか?お腹の子は……!?」
凛太朗は私と目を合わせるや否や、質問攻めで走ってきた。
その顔はひきつって瞳は潤んでいる。
……そうか、この子も相当心配してくれたんだな。
「心配ないよ。見ての通り私もこの子も元気いっぱいだから」
「本当、ですか?」
「うん、心配してくれてありがとね。お見舞いも来てくれて嬉しかったよ」
「……ハアァーー、よかった……」
私が笑って見せると、凛太朗は深く息をついて突然しゃがみこんだ。
「俺、すごい心配で、でも何もすることできないし、下っ端の分際でお見舞いなんて行かせてもらって逆に申し訳なくて。
命の恩人なのに、何もできなくてすごく悔しかった」
「凛、私はその気持ちだけで……」
「ああっ、しゃがまないでください!俺が立ちますから!」
しゃがもうとすると、猛烈な勢いで立ち上がった凛太朗。
「妊婦はしゃがむ動作が大変だって、『たまひよ』に書いてありましたから!」なんて、一生懸命語るその姿になんだか和んだ。
「ふふっ……」
「え、なんで笑うんですか!?」
「凛がいると元気出るなーって」
「いや、でも、本当に心配したんすよ?思い切って剛のアニキにも話しかけたんすから!」
「そう、凛、剛さん苦手なのに頑張ったねえ」
「でも、最近アニキは熱い男だって分かりました。あの、ところで……」
パワフルにしゃべる凛。だけど急に声のトーンを落とすと。
「ん?」
「気になってたんすけど、剛さんって、いつの間に‟コレ”できたんすか?」
凛太朗は小指を立てて、わたしに驚きの質問をしてきた。



