続・闇色のシンデレラ

しばらくはその空間にお母さんの嗚咽のみが響いていた。

5分ほどすぎた頃だろうか、お母さんが口を開く。



「あんな思いは、あなたにも経験させたくない。
お腹の子が無事で、本当によかった」



なんて優しい人なんだろう。

涙をこらえながら言葉をつなぐ彼女を見て、私はこれまでに何度、慈しみを感じたのだろうかと思った。



「ごめんなさいね、こんなみっともないところ見せて。
今日はあなたと赤ちゃんの無事を確認したかっただけなのに」

「いえ、語りたくもないだろうに、話してくださって、ありがとうございました。
この子をより大事に、大切にしていこうと思います」



お母さんが、そんな悲惨な過去を持っているなんて知らなかった。

不幸な人間は私だけだと、そう思って変に意地を張っていた自分を恥じた。



「話を聞いてくれてありがとう。今度は明るい話をしましょ。またおいで」

「はい、落ち着いたらすぐに参ります」



最後に優しく微笑んでくれたお母さんに笑みを向け、組長さんに頭を下げ、私は退室した。

部屋を出てからも私は、無意識にお腹の子を気にかけていた。