「で、颯馬と剛がここに来た理由は分かったが、どうしてガキも連れてきた」



若は視線を俺に向ける。俺はごくっと生唾を飲み込んで、恐ろしく冷たい瞳を見つめながら言葉にした。



「俺……俺、壱華さんが心配で。下っ端の分際でお見舞いなんて出過ぎた真似だって分かってます。
でも壱華さんは俺の命の恩人だから、何かあったらと思ったらいても経ってもいられなくて」



ヤクザ特有の凍てつくような鋭い視線を向けられると、俺の言っていることはただのわがままなんじゃないかと声がだんだん小さくなる。

それでも絶対に目は逸らさなかった。逸らしたら負けだと思った。

多少の無理や、意地を張らないと俺の居場所なんてないんだ。



「……お前、俺のこと怖くねえのか?」

「へ……?」



見つめあって数秒後、眉をしかめながら若は俺に尋ねてきた。

それはいったい、どういう意味……?



「はいはいストップ〜!もういいだろ兄貴」



思わず首をかしげると、後ろから颯馬さんが出てきて俺の前に立った。