「壱華ちゃん意識戻ったわよ、坊っちゃんが付きっきりで見てるから早く行ってあげて」
「え!?そうなんですね。はぁ、よかった」
「うん、赤ちゃんも心配ないから私も安心したわ。
……ところで颯ちゃん、最近うちの涼とどうよ」
ぐいぐいと迫る潮崎という女医。
ん?もしかしてこの人、荒瀬組最高顧問の潮崎組長の嫁さん?
道理で若頭補佐に気軽に話しかけることができるわけだ。
「あー、えっとですね……ごめん凛、話長くなりそうだから先行ってて」
おふたりを観察してると、颯馬さんは俺を見てぼそっと一言。
「あ、はい」
「あらやだ可愛い女の子!え?誰の子?」
「え、いや俺は……」
「凛、いいから行きな」
女医さんにどうやら女と勘違いされたから否定しようとすると、颯馬さんに背中を押された。
そこまでされたら引き換えるわけにいかないから、おれはひとりで壱華さんが入院する部屋を目指した。



