伏し目がちに扉を開けたその人物は、謝罪の姿勢をとる2人を見て立ち止まった。
苦いもので口に含んだように顔をしかめると、一歩前に足を出す。
「壱華」
それは志勇だった。
声を発した彼に、頭を下げていた兄妹は姿勢を正した。
「お前ら……」
なにやら彼らがとった行動が不満げな志勇。
「よお、志勇。話の続きをしようぜ」
「なんだ紫音、ここで話せ」
「それがここじゃ話せねえ話題でな。場所を変えたい」
「……」
「なあ、頼む志勇。たまには俺のことを聞いてくれ」
「チッ……」
荒瀬の若頭と対等に接する紫音さん。
きっと彼は志勇にとって数少ない、自分を知ってくれる人なんだろう。
志勇が目を見て話すのがその証拠だ。
志勇は舌打ちしながらも紫音さんについていって部屋を出ていった。
「……」
それを目で追うのは、わたしだけではない。
彼女は、琴音さんは、志勇が入ってきた時から見えなくなるまで、その姿を見つめていた。
まるで目に彼の姿を焼きつけるかのように。
ただの憧憬ではない、恋情でもない。
深い悲しみに包まれた懐かしみだった。
簡潔にいうならそれは──“志勇と過去に何かあった”かのようだった。
わたしもそこまで鈍いわけじゃない。それくらい察せる。
「……来ていただいてありがとうございます。」
嫉妬心を払拭したくて、自分から話しかけてみた。
苦いもので口に含んだように顔をしかめると、一歩前に足を出す。
「壱華」
それは志勇だった。
声を発した彼に、頭を下げていた兄妹は姿勢を正した。
「お前ら……」
なにやら彼らがとった行動が不満げな志勇。
「よお、志勇。話の続きをしようぜ」
「なんだ紫音、ここで話せ」
「それがここじゃ話せねえ話題でな。場所を変えたい」
「……」
「なあ、頼む志勇。たまには俺のことを聞いてくれ」
「チッ……」
荒瀬の若頭と対等に接する紫音さん。
きっと彼は志勇にとって数少ない、自分を知ってくれる人なんだろう。
志勇が目を見て話すのがその証拠だ。
志勇は舌打ちしながらも紫音さんについていって部屋を出ていった。
「……」
それを目で追うのは、わたしだけではない。
彼女は、琴音さんは、志勇が入ってきた時から見えなくなるまで、その姿を見つめていた。
まるで目に彼の姿を焼きつけるかのように。
ただの憧憬ではない、恋情でもない。
深い悲しみに包まれた懐かしみだった。
簡潔にいうならそれは──“志勇と過去に何かあった”かのようだった。
わたしもそこまで鈍いわけじゃない。それくらい察せる。
「……来ていただいてありがとうございます。」
嫉妬心を払拭したくて、自分から話しかけてみた。



