志勇が出ていってしばらくして、司水さんは網谷兄妹を連れてきた。
スーツを着た紫音さんと、シックな黒のワンピースを着こなす琴音さん。
兄は手に見舞いのための花束を持ち病室に入り、その後ろを琴音さんが優雅な足どりで歩み寄ってきた。
彼女は相変わらず美しかった。
「荒瀬の若姐さん、悪いね、取り込み中に」
一定の距離まで来ると、紫音さんが口を開く。
その一言で分かる彼の余裕と大いなる強さ。
彼はどこか、志勇と近いものがあると思った。
「いいえ、ご足労いただきましてありがとうございます」
ともかく、志勇が不在の上こんな格好で申し訳ないが挨拶はしておいた。
「とんでもない、顔を上げてくれ。俺たちはあんたに謝罪しようと思って来たのだから」
すると彼は眉をはね上げ、それから表情を改めた。
彼はわたしから視線を外すと妹と目を合わせる。
無言の意思疎通を終えると、琴音さんが兄の隣に立ち、わたしと視線を絡めた。
「実は……先日の一件は事前に防げたはずだったのです」
「え……」
悲しげで深く悩んでいるかのような表情で切り出された話題は、昨日のこと。
「わたしはパーティの前日、あの2人に誘われました。『おもしろい事を思いついたから自分たちと手を組まないか』と」
それは当事者も知らない、事件の裏に隠された秘密だった。
スーツを着た紫音さんと、シックな黒のワンピースを着こなす琴音さん。
兄は手に見舞いのための花束を持ち病室に入り、その後ろを琴音さんが優雅な足どりで歩み寄ってきた。
彼女は相変わらず美しかった。
「荒瀬の若姐さん、悪いね、取り込み中に」
一定の距離まで来ると、紫音さんが口を開く。
その一言で分かる彼の余裕と大いなる強さ。
彼はどこか、志勇と近いものがあると思った。
「いいえ、ご足労いただきましてありがとうございます」
ともかく、志勇が不在の上こんな格好で申し訳ないが挨拶はしておいた。
「とんでもない、顔を上げてくれ。俺たちはあんたに謝罪しようと思って来たのだから」
すると彼は眉をはね上げ、それから表情を改めた。
彼はわたしから視線を外すと妹と目を合わせる。
無言の意思疎通を終えると、琴音さんが兄の隣に立ち、わたしと視線を絡めた。
「実は……先日の一件は事前に防げたはずだったのです」
「え……」
悲しげで深く悩んでいるかのような表情で切り出された話題は、昨日のこと。
「わたしはパーティの前日、あの2人に誘われました。『おもしろい事を思いついたから自分たちと手を組まないか』と」
それは当事者も知らない、事件の裏に隠された秘密だった。



