続・闇色のシンデレラ

何に対して謝っているのか分からなかった。



「お前の心に、体に、また傷をつけた。また壱華を守れなかった。本当に…悪いことをした」



この世界には理不尽なことがたくさんある、一般の社会では起こらないことが起こる。

それを知りつつ、わたしはあなたと結婚したのに。



「どうして謝るの?」



ふと、言葉になったのは疑問。

自分の声は実に冷静なものだった。



「いいの、この子を守れたから。わたしがどうなろうと、この子さえ無事でいてくれれば……」

「それは違う」



ところが、志勇のとがめるような声に言葉を止めた。

志勇の顔を見つめ直すと、彼の表情は悲しみと同時に怒りに染まっていた。



「子どもさえ、なんて聞くに耐えない考え方はやめろ。
お前があってこその子どもだろうが。
頼むから……自分を※無下(むげ)にしないでくれ」



徐々に彼の表情は悲しみと不安で歪められ、苦しそうに眉をひそめた。



「お前がいないと俺は……」



下を向いて拳を固める志勇。

ああ、不安にさせないつもりで強がったのに、余計に不安にさせてしまうなんて。



「ごめんね、志勇」



自分はなんて不器用なんだろう、そう思いながら、志勇の髪に指を絡ませる。

安心させようと、彼の頭に手を伸ばし、撫でようと思った。



「壱華?」



はっとして頭を上げる志勇。

嫌だったのかと手を引こうとすると、不意に力強く腕を引かれた。

すると志勇は、そのたくましい腕で私を包み込んだ。

しばらくお互い無言でそうして、口を開いたのはわたしだった。



「ただの強がりなの。本当は怖くて怖くて仕方なかった」






※無下にする…… 考える価値もないかのように冷たく扱うこと