続・闇色のシンデレラ

残るは流進の娘。

彼女はこの世の終わりに直面したような顔をしていた。

自分でしでかした事なのに、志勇に裁かれることに恐怖で仕方ないのだろう。

ところが当の本人は、一瞬女を睨むと、すぐに視線を外した。



「あとは任せる」



そう言うと、そばにいた司水さんが志勇とすれ違いざまに頭を下げる。

輪の中から外れた彼は、真っ先にわたしのもとへ歩み寄ってきた。

眼差しはやわらかいものへと変化し、私に向けられている。



「壱華、待たせてすまない。傷が痛むだろ?すぐに病院に行こう」



この人は本当に、悪魔のような判決を下した者と同一人物なのか。

そう思うほど優しく話しかけてきたのは彼は、床に膝をつき目線を合わせ、わたしを抱き上げように動作した。



「志勇、わたし歩けるよ。大丈夫だから」

「だめだ、無理するんじゃねえ。俺が運ぶ」



立ち上がろうとするわたしを止め、速やかに抱きかかえられた。

驚いて首元にしがみつくと、香る彼のにおい。

歩き出した振動に合わせ、伝わる彼の生きる音。



「……志勇」

「なんだ、痛むのか?」



それに触れた瞬間、これまでの緊張や恐怖が剥がれ落ちた。



「よかった……」



来てくれて、よかった。

本当に怖かった。



「ああ、もう大丈夫だ。安心しろ」



その声がわたしに生きていると感じさせて、その言葉に生きていてよかったと心底思った。

様々な感情が混ぜこぜになって、涙がこぼれた。