続・闇色のシンデレラ

「……志勇、お母さんは?」

「……おふくろ?」



ふと、その疑問によって解けそうになっていた緊張の糸が張り詰める。

そういえば、さっきまでドアの付近でうずくまっていたお母さんの姿が見当たらない。

もしかするとわたしを襲った連中に攫われて……。



「お前を探してる途中で見かけたからこの場所を教えてもらった。
おふくろがいなかったらお前を探すのに時間がかかったかもしれねえ」



その考えは杞憂だった。

だけど、お母さんはあの精神状態で助けを求めにいってくれたのかと思うといたたまれない。

あの人はどれだけ優しい人なんだろう。



「悪かった」



その血を引く志勇は、母譲りの優しさで、わたしを包み込むように言葉をかける。



「謝らないで、志勇のせいじゃない」



恐怖を押し殺してきたわたしも、その時だけは目頭が熱くなった。



「それに、この人が助けてくれたから」



今は泣くべきじゃないと思って、ひとまず後ろに立つ女性を志勇に紹介した。

志勇が彼女を怪しむ前に話をしておいた方がいいと思ったから。

だけど、志勇は。




「網谷……」



目の前の女性を知っていた。

しかも、あれほど女性を鬱陶しがる志勇が、ごく普通に彼女の名を呼んだ。

わたしはびっくりしてふたりの顔を交互に見つめた。