続・闇色のシンデレラ

「網谷さん……あの」

「琴音で構いません。どうされました?」

「助けていただいて、ありがとうございます」



ひとまず、わたしは彼女に礼を告げた。

床に手をつき深く頭を下げる。



「……そんな、顔を上げてください。感謝されるほどのことはしていません。
それに、もっと早くにかけつけるべきでした。
あなたを執拗に傷つけるほど、彼女たちがこんなにも馬鹿だったとは」



すると彼女は、ぼそりと悲しげに呟く。

わたしは顔を上げた。張りつめた綺麗な顔がそこにあった。

悲しみ、その他の感情は読み取ることができない。



「……ん?」



ふと、音がした。連続して近づいてくる音。

誰かが走ってくるような足早なリズムが聞こえる。

音からして数は1人だ。

わたしと目線を合わせていた琴音さんは、再びの襲来かと思ったのか身を構えた。



「壱華!」



しかし、不意に放たれたわたしを呼ぶ声に、全ての恐怖心を解いた。

琴音さんはその声を聞いていた警戒する。

だけど私は分かっていた。絶対に勘違いなんかじゃない。

今の声は──



「志勇……」

「え?」



待ち焦がれた彼、そのものだ。



「壱華!」



琴音さんが驚いてわたしの瞳を見つめたその時志勇は姿を現した。

青ざめた顔、少し乱れた髪、表情は恐怖で強ばっている。

彼は私の存在を確認した瞬間、目の色を変えて走り寄ってきた。