「あんたは……!」



視界に広がる紫。

それはわたしを守るように前に立ちふさがっていた。



「残念ね、嫉妬心で自分を見失うなんて……」



はっとして見ると、それは女性の後ろ姿だった。



「あんたまで邪魔しないで!こっち側の人間でしょ!?」



その人は流進の娘は彼女の知り合いのようだった。

しかし彼女は全く動じず、わたしを守るように立っていた。



「なによ……悔しくないの!?あんただってそいつのせいで志勇様を取られたのに!」



ところが、その言葉にはぴくりと肩が動いた。

……わたしのせい?



「あッ……!」



言葉に疑問を覚えた、その時だった。



「あなたと一緒にしないで」



ひとつ叫び声が上がったかと思うと、カラン、と音を立ててナイフが女の手から滑り落ちる。

そして気がついた時には、流進の娘はぐったりと床に伏せていた。