単刀直入に発言した親父。
ざわり、幹部どもが声を上げ、隣り合わせた者と驚いた顔で見合わせる。
俺もあらかた予想はついていたが、この場でそれを発言したことを疑問に思った。
「梟から情報だ。流進がヤクに手を出した。
相手はマカオ、台湾、香港、いずれかの同業者」
極道の世界には、こうして信頼のある者でさえ裏切り行為を働くことがある。
それは分かりきっている。
だが、なぜこの場で言う必要がある?
「あいつら、何の連絡も寄越さねえで秘密裏に取引してやがった。
ヤクの売買は二次団体は取り扱っちゃいけねえ決まりだ。
よって流進は破門だ」
外から薬を仕入れ売りさばくのは、荒瀬組では三次団体と決まっている。
それは警察にパクられた時、“対処しやすい”ようにだ。
バレた時はすぐ切り捨てる。
大元である荒瀬組の直参は関与していないと見せかけ、影響を小さくするため。
そんなことよりだ。
「今日、裁くのか?」
なぜ、今呼び集めた。
確かめるために親父に向けて言葉を発する。
すると親父は目だけを動かし俺を見た。



