「ほんと、消えちゃえばいいのに」
「!?」
ふと、心の声と入り交じる誰かの声。
幻聴?いや、確かに聞こえたこの声は……。
「嫌な女……何がシンデレラよ」
入口の扉の前で話す若い女。
流進会と、水尾組のお嬢。
奴らは俺じゃなく、壱華の綺麗な後ろ姿に向けて毒を吐いていた。
……未だにあの子を敵対視するバカがいるのか。
まあ、こいつらの場合はただの妬み嫉みか。
その後もきゃっきゃっと悪口に華を咲かせる2人の女。
さすがの俺も腹が立ち、一喝してやろうと奴らに向き直ったが。
「ごめんなさい、通らせていただけませんか?」
そこに、艶やかな黒髪の女が通りかかる。
濃い紫のロングドレスに身を包んだ、妖艶な立ち姿。
どこか壱華と同じ雰囲気を漂わせる女。
あれは確か……。



