続・闇色のシンデレラ

安らかに、心から笑う理叶の隣で口を固く結んでいる男。

赤髪だったはずだけど、今はもう落ち着いた茶髪に変わっている。

そこに立っていたのは光冴だった。



「何か俺達で出来ることがあれば力になりたいんだが……ダメか?」

「ふふ、そうね、うちには面倒な狼さんがいるから。気持ちだけ受け取っておくね、ありがとう」



西の件で打ち解けたわたしと理叶。

未だわだかまりの解けないわたしと光冴。



「分かった、見守ることに専念するよ」

「うん、この子が生まれた(あかつき)にはよろしくね」



光冴に害がないと分かっていても、自然とお腹をさするのは潜在的な記憶のせいか。

それは一種の防衛反応だった。




「壱華様」

「ひゃっ!」



そんなわたしを見兼ねてだろうか。

お母さんのそばにいた司水さんが私の肩を叩く。



「あまり若以外の方とお話されると後が怖いですよ?」

「もう、急におどかさないで下さい。それはいつものことです」



そう返答しつつ、そっと彼らから離れる。

理叶と光冴の視線はわたしに留まったまま。

加害者と、被害者。光冴と、わたし。

関係を修復するには、まだまだ時間がいるらしい。