続・闇色のシンデレラ

「やだ、見て!イケメンがいる」



案内された産婦人科にて。


静かだったはずの院内がざわつき出した。


何人かの女性が食い入るように見つめていると目線の先。


そこには、わたしに密着してエスコートする志勇が。



「うちもあんな優しい旦那がほしいなあ」

「素敵な旦那様ね~」



まったくこの男、背は高いし顔は整ってるし、いい意味でも悪い意味でも目立つんだから。


でも……旦那様、か。


傍から見れば、わたし達ちゃんと夫婦に見えるんだ。よかった。


それに改めて、正式に志勇の奥さんになったんだって、実感して頬が緩む。




って、こんな気持ち悪く笑ってるところ、志勇に見られたらどうしよう!


そこでちらっと見上げると───わたしは彼の顔を二度見してしまった。


旦那様と言われたのがそんなに嬉しかったのか、これでもかってくらいニヤけてる。


それは幸せそうとかそういうレベルじゃなくて、もう溶けてしまいそうな勢いの笑顔。


なんだろう。


結婚して、志勇のキャラ崩壊に拍車がかかってきてるのは気のせいだろうか。












「あら、はじめまして。可愛いシンデレラさん」




そんなこと思いながら通された診察室。


いらっしゃったのは女医さん。白衣の美魔女が現れた。


でも、待ってよ。この人どこかで……?