「しょうがない。日本に帰ろう」

一年の自由な旅に別れを告げ、透は日本へと帰ってきた。アメリカの自由な空気とは違い、日本の空気はどこか重く感じる。

「……これからどう生きていけばいいんだ……」

医師免許は持っているため、医師になれないわけではない。しかし、一年もアメリカで気ままに生活していた自分を雇ってくれるところはあるのかと不安が芽生えた。

「う〜ん、とりあえず仕事を探そう!」

透はキャリーケースを持ったままコンビニに向かい、求人広告の雑誌を手にする。当然ながら医師の求人などはない。しかし、介護や飲食店の求人は多くあった。

両親から医師になることを決められてしまったが、人助けが嫌いというわけではない。透は考えに考え、介護施設で働いてみようかと考えた。

「えっと、とりあえず電話した方がいいよな……」

透がスマホを取り出そうとしたその時、「もしかして、仕事を探しているんですか?」と声をかけられる。横を見れば、ショートカットの明るそうな女性が立っていた。