「犯人がわかったが、魚にアニサキスを仕込む場面を押さえなければ逮捕できない。そこで張り込みをすることにした」

玲奈がそう言うと、「えっ!?本当なの!?」と美咲が驚く。透が顔を上げると、少し緊張したような玲奈がいた。

「明後日の××小学校の給食に魚が出る。もしかしたら犯人をそこで捕まえられるかもしれない」

「そっか、あたしも協力する!」

「いや、あんたはここにいて。あんたを危険な目にあわせられない」

美咲を説得する玲奈は、やはりいつもとは違っていた。透は素早く立ち上がる。

「俺が美咲さんの代わりになる。俺は男だ。何かあっても大丈夫」

透は玲奈の黒い瞳を久しぶりに見つめる。その口がゆっくりと動いた。



暗闇に包まれている校舎はどこか不気味だ。狭い給食室で、透は玲奈と隠れて様子を伺っていた。

「狭い……」

文句を言う玲奈に、透は「仕方ないだろ!我慢しろよ!」と真っ赤な顔で言った。