村田刑事がそう言い、透と玲奈を見つめる。玲奈は「なら私は××小学校に行ってみるわ」と透の腕を引く。

透は頭を下げ、宮下病院を後にした。



小学校は、宮下病院から三十分ほどのところにあった。二階建ての校舎には、海の生き物の絵が壁に描かれている。

「可愛い……」

「そうね。ここにダイオウグソクムシがいればもっと素敵だと思うわ」

「……やめましょう。夢を壊すな」

小学校の教師に職業と要件を伝えると、すぐに給食を作った調理師たちが姿を見せる。その中には村橋の母親もいた。

「今日はどういった献立でしたか?」

透が穏やかに訊ねると、調理師が「ええっと……」と言いながらメニューを教える。

ご飯、味噌汁、マグロの竜田揚げ、サラダなど栄養バランスの取れたものだ。

「給食、懐かしいな……。揚げパンが好きだったなぁ……」

透がそんなことを調理師と話していると、「マグロの竜田揚げはまだありますか?」と玲奈が村橋の母親に訊ねた。