そんな事を考えている内に吹雪は無意識の内に電車に乗り、自宅の最寄り駅に到着していた。
 今、彼の事を考えてしまうの泣いてしまいそうで、何も考えずに自宅まで戻れるように必死に我慢をしてマンションまでをやり過ごした。



 ようやく、マンションが見えてきた。
 この道を雨が降ったときに2人で手を繋いで走ったな。そんな事を思い出してしまい、吹雪は我慢していた涙が一粒落ちてしまった。

 すぐに涙を拭いて、人目から離れるように道の端を歩いた。
 マンションに到着し、ホッと安心したのも束の間だった。
 タイミング悪く、吹雪の部屋の方から人影が向かってきた。泣き顔を見られたくなく、吹雪は俯きながらその場をやり過ごそうとした。


 「吹雪さんっ!!」
 「…………周くん…………」


 その人影は吹雪の部屋の前で待っていた周だった。
 吹雪は驚き、そしてすぐに彼から目を逸らした。あんな事を聞いてしまい、彼の事を直視出来るはずもなかった。