「あった!ここだ!」


 そう行って、彼が入っていったのは、ガラス張りになっている入り口だった。入り口には沢山の花が飾られている。オープンしたばかりの店なのだろうか?
 しかし、入り口に何かのポスターが貼られており、それを見て吹雪はここがどんな場所なのかを理解した。


 「ここってギャラリー………?」
 「そうだよ」


 周に連れられてやってきたのは、広いギャラリー施設だった。所々に綺麗な花が飾られているおしゃれな空間だった。そして、そこには沢山の硝子細工の食器が置かれて、照明を浴びて宝石のように輝いていた。


 「硝子の食器……?」
 「そうなんだ。お気に入りの作家さんのギャラリーが開催されるのを知って、吹雪さんにも見てほしくて招待したんだ」
 「すごい………綺麗……」


 吹雪はその透明で繊細な煌めきに誘われるように、手前の色とりどりのドットの模様がついているグラスに近づき見いってしまった。


 「あー、それは………」
 「津軽びいどろって言うんだよ」


 周とは違う低い声の男性の声が聞こえてきたので、驚き後ろを振り向くと、そこには肩まで伸びた髪を後ろで結び、個性的な刺繍のカーディガンを羽織った男が、小さく手を振りながらこちらにやってきていた。ニコニコと微笑み、吹雪と周の近くにやってきたのだ。