20話「突然の終わり」




 彼に手を引かれて歩く。
 この手の温もりと感触にも、あと少しでさようならだと思いつつも、もしかしたらこれからも恋人という関係になって続けられるのかもしれない。吹雪は、そんな事を心の奥底で期待していた。だからこそ、寂しさよりも緊張感を感じていた。


 「ここら辺なんだ。んー……どこだろう?」
 

 周は、キョロキョロとビル達を眺めながらそう呟いた。彼に連れてこられたのは、ファッションビルや高級ブランドの店が建ち並ぶ街の中心部だ。昼間にも関わらず多くの人たちが行き交っている。
 吹雪にとってあまり訪れたことない街並みだった。


 「こんな所に用事があるなんて、すごいね…………」
 「俺はすごくないよ。ただ、確かにすごいものが待ってるよ」


 彼の表情はとても明るく、ワクワクしたものでとても楽しそうだった。彼がそんな顔をしたのを、吹雪はいつか見たことがあったように思えた。それはいつだっただろうか。