「でも、好きになっちゃったんでしょ?」
 「……………なんで、わかったの?」
 「吹雪ちゃんが家に入れたり、こうやって少し恥ずかしそうにしながら男の人話ししたりするのって、なかなかないだろうし。私は応援するよ」
 「え…………どこの誰だかわからない人で、ホストなのに?!」


 予想外の麗の発言に、吹雪は思わず驚いて大きな声を上げてしまう。そんな吹雪を見て、麗は優しく微笑んだ。


 「確かに少し不安だよ。どんな事をしてるのかわからない男に吹雪ちゃんを取られるのは悔しいし、心配。だけど、吹雪ちゃんがそんな事関係ないぐらいその人を好きになって、信じようとしてるなら、私も信じてみるよ」
 「………麗ちゃん………」
 「でも、もしかしたらまた傷付くかもしれないんだよ。幼馴染みとか前に紹介した男みたいに、吹雪ちゃんの事を狙っている男かもしれやい。だから、何か心配事があったらすぐに連絡してね」
 「うん………ありがとう」



 そう言って優しく頭を撫でてれる。
 高校の時に、吹雪が少し変わってしまったのを心配してくれたのが麗だった。大人しく一人で過ごすようになってしまった吹雪を、変わらずに見守ってくれたのが彼女なのだ。そして、星に振られてしまった時も、彼女だけには教えていた。
 だからこそ、麗に周の事を話せてよかったと思えた。


 「大丈夫だよ。吹雪が好きになった人だから。信じてみて」
 「そうだね」
 「ま、また失恋したら私が慰めてあげるからね」
 「もうー!そういう事言わないでよ」


 麗はそう言って、チョコを手にとって笑った。吹雪は、そうやって恋愛話を出来るのが嬉しかったし、応援してくれた事に安心した。


 これから周とはどんな風に過ごしていくのか、吹雪自身もわからない。
 けれど、彼との未来を想像してしまう日も多い。

 隣を歩いていたい。
 手を繋いで笑い合いたい。
 そんな風に思えた。