「いろいろ調べてみないと………。人気ホストのお店とかに行って勉強した方がいいのかな」


 そんな事を本気で考えるほど、吹雪は昨日の彼に感謝していたのだ。
 思い出せばまだ辛い。けれど、その事を相談出来たのも、誰かを信用したいと思えたのも、彼のお陰なのだ。

 どうして、周に話してしまったのか。
 その理由はわからない。けれど、話したいと思ったのが、きっと理由なのだろうなと感じていた。



 彼がどれぐらいのお金を稼ぎたいのかはわからない。けれど、その目標まで、それを叶えるまでは助けようと心に誓った。
 その後は、彼へと気持ちを伝えたいとも思った。周と恋人になれるなど思えなかった。けれど、伝えなければきっと後悔する。そう思えるぐらいに彼への想いは特別なものへと変わっていたのだ。




 「………吹雪さん、おはよう………」
 「あ、周くん。おはよう」


 恋人でもないのに、同じ朝を迎えるというのは少し恥ずかしいものだった。それに、昨日は彼に泣き晴らした顔まで見られてしまっているのだ。吹雪は恥ずかしさを感じていたけれど、周はまだ眠たそうに目を擦りながら立っていた。その姿は、少年のようで吹雪は緊張が解れ微笑むことが出来た。


 「味噌汁のいい香りがする」
 「朝御飯は和食でいいかな?焼おにぎりと味噌汁、サラダぐらいしかないんだけど………」
 「手作りの味噌汁!楽しみ!」
 「じゃあ、顔洗ってきたら?すっきりするよ」
 「うん!」
 「あ、周くんっ!」