12話「心配だから」




 「…………湯上がりの周くん、かっこよかったなぁー………」

 吹雪は湯船につかりながら、ため息混じりにそう呟いた。
 火照った頬に濡れた髪、吹雪用のつんつるてんの部屋着姿。今まで見たこともない普段着の彼が見れて、吹雪はドキドキしてしまった。




 周を部屋に誘うと、少し迷いながらも彼は「じゃあ………お邪魔します」と言ってくれた。普段は使わない敬語になっていたところを見ると、彼も少し緊張していたのかもしれない。
 部屋に入って大きめのバスタオルを渡し、吹雪は急いでお風呂を沸かした。


 「すぐにお風呂沸くと思うから、先にシャワー浴びてて。沸いたら、お風呂に入ってね」


 と周に言うと、彼はそれを激しく拒否した。


 「俺が先にお風呂に入るわけには行かないよ!女の子なんだから、吹雪さん入って」
 「私は体が強いんだからいいの」
 「よくないよ!ダメだよ」
 「…………周くんはお洋服ないでしょ?私はすぐに着替えられるけど、乾燥機に入れて乾燥すれば着れるから、ね」
 「…………すぐ上がってきますからね!」
 「ダメ。お風呂に入らないと怒るから」
 「…………わかりました」


 いつも強い口調にならない吹雪が強気な発言をしたからか、周はたじろぎながらも渋々浴室へと向かった。お風呂の使い方を教えた後、洗濯物を入れる場所を教えて、彼がお風呂に入ったのを見計らって洗濯物をセットした。

 吹雪の大きめのTシャツとパーカー、そしてズボン、そしてタオルを準備して脱衣所に置いた。
 その後、ドキドキしながらも自分の洋服を脱いで着替えた。温かいものを作っておこうと、冷蔵庫にあった野菜を使ってスープを作っているうちに、周が風呂場から出てきた。