あれから、吹雪は考えていた。
 光弥は、どうしてあんな行動をしたのだろうか、と。それはやはり結婚に焦りが会ったのではないかと考えたのだ。
 好きではない相手との結婚生活から逃げたかったのかもしれない。どうにかして、やめてしまいたかったのかもしれない。

 してはいけない行動だったけれど、それには理由があるのだろう。そんな風に考えていた。

 けれど、その考えを話しても麗は同意はしてくれなかった。



 「吹雪ちゃん………その考えは吹雪ちゃんらしいけれど、この世の中には本当に自分の利益とか気持ちしか考えていない人がいるんだから。吹雪ちゃんは優しいから心配だよ」
 「………うん。気を付けるね」


 本当は麗に相談をしたかった。
 けれど、その言葉がまるで周の事を言っているように聞こえてしまい、吹雪は何も言えなくなってしまった。


 周の事はいい人だと思うし、騙すような事をする人だとも思えなかった。
 けれと、考えの本当の考えが読めないのは事実なのだ。

 だからこそ、麗の言葉が胸に刺さった。


 彼とは親密にならない方がいいのだろうか。
 けれど、周と次に会う日を楽しみにしてしまっている自分の心を思い、もう遅いかもしれないな、と感じたのだった。